2008年6月7日 星期六

大山鳴動のあと

527 大山鳴動のあとで

大山鳴動してねずみ一匹を書いたのが三月末、これで安心と思ったのもつかの間、四月末に老人検診があって、GOT,GPTが再び上がっていると聞かされた。自分でも尿の色が濃いし、食欲があまりないことに気づいていたので、早速受診したら、
「内臓、特に消化系の精密検査をやりましょう」
といわれた。そして
「入院しないと保険が出ない検査項目があるから、明日入院する準備をして来なさい」
という。この機会に人間ドックもいいかと軽い気持ちで承諾したのに、そんなに大げさだとは思わなかった。しかし、ここまで来るともう言いなりになるほかない。
検査の詳細は省略するが、困ったのは最初の日から、毎日輸液(点滴)をするものだから、動き回るのが不便でしょうがない。わたしは検査のために入院しているのですよと看護師に言っても、医者の指示ですからという。結局輸液で黄疸が軽くなったのだから洗浄効果はあったのだが、医師も看護師も誰一人そう言う風に説明した人はなかった。一様に栄養のためですという。5%ブドウ糖500mlのカロリーはせいぜい100カロリーなのに。
検査は内臓のほとんどに及んだ。GPTが高い直接の原因は肝臓の炎症だが、それが肝炎によるものか、それとも他の胆嚢、膵臓、胃、腸、などによるものか、一々チェックするのだ。ただ、用いた手段は、X線、エコー、MRI、生化学検査、心電図など多岐に亘った。生化学検査では膵臓、肝臓、胃腸、前立腺などの癌のマーカーまで分かるようになった。これらが陰性だからといって絶対安全というわけでもないが、一応安心できるからあとは定期的に追跡することになる。
結果は、これら内臓に別段悪性と思われる腫瘍はないが、胆石が長い間胆管にいてなんらかの原因で胆管の一部を塞ぎ、胆汁の流れが悪くなったのだろうと言う診断が下された。この胆石、実はもう20年くらい仲よく暮らしているもので、時々医者に聞いてみても、「どこも痛まなければ放置したらいいですよ」といわれてきた。「その代わり、痛んだらそれこそ立っても座ってもいられないくらいになるから覚悟はしておきなさいよ」と釘をさされている。胆石の痛さについては、父58歳のときに発作が起きた状況をつぶさにみているからよくおぼえている。その他の内臓については、マーカーは安全範囲内にあるという。ただ、前立腺癌のマーカー、PSAはグレーゾーンの真ん中、追跡検査する程度でいいという。胆嚢結石については、本来なら切除するのが正しいが、年齢的に難しいので外科手術しないことにする、との宣託だった。60歳台なら手術を勧めるともいう。一つには、胆石の手術といっても、それだけとればいいというものではなく、膵管、脾臓管を傷つけないように避けるため、手術時間が往々8時間に及ぶからで、高齢者には非常に大きな負担になるからである。

さて、ドックの費用は?
総計8229元    三泊四日である。大部分は病室の差額自己負担分
(6300元)であった。検査費用合計は17636元、この分の90%は保険負担で、自己負担は10%であった。病室も個室だからこんなに高くついたが、本当は大部屋だったらこの分が不要になる。すると、せいぜい2000元程度で済むことになる。
実際、入院して検査を受けるのは退屈でもあり、何時検査の呼び出しがくるか分からないから、なんとも落ち着かない。本をよんでいればよさそうだが、そんな時に限って中断される。また、一度にまとめて全部検査できないですかときいたら、一つの検査の結果を見て次の検査を決めるのだという。いやはや、俎上の魚だからいわれた通りにするほかないが、「拘置所」に類似している気がして苦笑せざるをえなかった。
                          ‘08/05/27

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